親分の机上
監修の仕事も佳境に入ってきた。イラストの清書もドッサリと・・・・。親分の椅子に座って描き続ける。
「えの木てい」でお茶を飲みながら那須の話になった。「先生、今那須はいいでしょうね。たまに戻るんですか」「いま忙しくて帰ってないですね」今帰ってもこんな感じでしょうか、これは三年前の同じ頃です。
カルチャーのスケッチはベーリックホールに行きました。山手までの石段でまずバテました。初心者が五人で一生懸命教えてまたバテた。こう考えると他の生徒は教えるのにとても楽な事がつくづく分かった。
生徒は熱中していたから暑さをあまり感じなかったという。熱中の熱のほうが気温を上回っていたからだ。僕はブラブラしていたので暑さがこたえた。この後編集の人が東京から三人やって来て三時間にわたって原稿の内容チェックをした。監修ってけっこう大変ですよ・・・頭脳フル回転でした。
教室に蜂が飛び込んで生徒達の周りを飛んでいた。「誰か叩いてよ」と言ってもみんな知らん顔。「鎌倉で殺生はしたくないです」僕がやるしかないか。事務所に行って殺虫剤を借りてきて吹き付けた。「もう落ちるわよ。弱っているから」暫らくして床に落ちた。「Bさん踏んづけてよ」「あたしも殺生は嫌です」「僕がやるか」と蜂を踏んづけた。みんなのために殺生したんだから。
ワインとボトルの写真のボトルの部分を指で擦ると穴が開きます。穴が開いていることを見せるところでミスった。しかし生徒はその事に気がつかなかった。「どこが失敗だったんですか?」自分としては失敗だったのだ。完璧ではなくても見ている人には分からないものなんだ。また指でビンの穴を擦って消して終わった。今日の教室はシーンと静かだった。
大船植物園のスケッチは暑くもなくいい気分で描けたようだ。今日は月謝の日で「先生、お金は持ってきたんですけど月謝袋を忘れました」「ああいいよ!ノートにハンコ押しとくから」「先生~、袋は持っているんですけどお金忘れました。ダメでしょうか?」「ダメに決まってるでしょ。そんな人初めてだよ」
糊付けされていて動かない五枚のカードのハートのKの位置を覚えてもらい裏からハートにクリップではさんでもらう。表にすると違うところにクリップが「先生、表からクリップを挟ませてください」「それじゃ見えているんだから誰だって挟めるじゃん」
写生に出かけようとしたら雷と土砂降り「まずいな・・・」と大きいほうの傘をさして駅へ向かった。駅に着くころには小降りになった。写生中降ってくるとやっかいなので美術館の軒をかりてクイーンズタワーを描いた。雨は降ることなく終わった。ここは易しそうで難しい典型だ。
以前生徒に「線路際のカンナはどうして真っ赤だか知っている」と聞いたことがある。今日のも真っ赤だった。曇り空の霧雨くらいのほうが赤さが増して見える。水彩画も塗った時は濃いのに乾くと薄くなる。これと同じかな?
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